はじめに
以前、「動吸振器をたくさん付けてもメタマテリアルにはならないよ」という主旨の記事を投稿しました。
詳しい理論は下記の参考文献に記載されていますので興味のある方は参照ください。ちなみに、P.45~48に説明があります。
ただ、よくよく現実の問題として考えてみると、動吸振器の主系は弾性体なので、参考文献のような質点ではありません。
そこで、もう少し深堀するために、FEMでの検証をしてみました。(ただし、何か結論が出たというわけではないです。もう少し時間をかけて考察する必要がありそうです。)
今日は途中経過ですが、結果を紹介します。
検証モデル
今回、検証で用いたモデルは下記です。1000mm×1000mm×4mmのSUS板です。
図1
ただし、動吸振器をたくさん設けたときの効果を検証したいので、板の下側にラージマス(1000kg)の質点を設け、板周辺と質点を剛体結合して、質点を1Nで加振しました。
図2
一応、物性値を記載します。
表1
ヤング率 | 密度 | ポアソン比 |
kg/m/s2 | kg/m3 | |
1.97E+11 | 7.70E+03 | 3.00E-01 |
固有値解析結果
まず、動吸振器なしの状態で固有値解析をします。
理由は、動吸振器の共振周波数を特定するためです。結果を下記に示します。
図3
1~6次は剛体モードなので今回は無視します。「剛体モードって何」という方は下記を参照ください。
今回は34.71331Hzに動吸振器の共振周波数を一致させます。
ちなみに動吸振器の総質量は主系の10%とします。
今回、主系の質量は0.0308[ton]です。
なので、動吸振器の総質量は0.00308[ton]です。
また、動吸振器は板上の81個の節点につけるので、動吸振器1個の質量は3.80247E-05[ton]です。
ターゲット共振周波数と動吸振器1個の質量がわかれば、動吸振器のバネ定数は決定します。(1.8089122Nですね)
動吸振器適用モデル
図4に動吸振器適用モデルを示します。
図4
このモデルと動吸振器がないモデルで、平板中央の応答の変化を比較してみます。
検証結果
検証結果を図5に示します。ちなみに、Z方向の振動加速度応答で比較しています。
図5
。。。。。。
微妙ですよね。。。。
おそらく、参考文献では図5のような結果になることがわかっているから、多段動吸振器の最適化理論を考えたのではないかと推察します。
教科書は無駄なことが書かれていませんが、自分で手を動かしみるとわかるノウハウ的なことが、実は重要だったりしますよね。奥が深い。
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