機械エンジニアのTIPS 剛体モードについて

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今日は剛体モードについて説明したいと思います。

学生や機械エンジニアの方では、FEMでFree-Free(自由拘束)条件で固有値解析をした場合、「解析結果がおかしくなる」もしくは「どこか拘束しないと固有値結果が正しくならない」と考えている方がいます。
しかし、この考えは間違えです。

音響学会で発表していた学生が、「FEMではFree-Freeで解析してしまうと、力がうまくつたわらず、固有値解析できないので節点1つを拘束しました。」と発表しており、愕然としました。
その学生は、実測のハンマリング結果とFEMの解析結果を比較していたので、実測のモード次数と解析のモード次数が一致しないので、FEMでは拘束したようです。
(学生に指導するのが面倒だという指導教授のお気持ちはわかりますが、学会の発表資料ぐらい添削しましょうよ….)

FEMでFree-Free(自由拘束)条件で固有値解析をした場合、剛体モードと弾性モードの結果が出ます。それぞれ下記を意味します。

剛体モード:構造体自体は変形せずに、構造体自体が並進もしくは回転するモード
弾性モード:構造体自体が変形するモード

イメージをつかむには、無重力空間でその構造体のハンマリング試験を考えてください。
このとき、構造体自体はハンマーのインパクトで並進・回転移動しながら、構造体自体は弾性変形します。
この並進・回転が剛体モードと呼ばれる振動モードと考えてください。
このとき、並進・回転の周波数を考えると0Hzに極めて近いことがわかります。
(これは、単純な並進・回転は振動成分を持たずに、静的であるため周波数は0になるからです。)

前述のとおり、剛体モードは並進と回転があり、それぞれ3方向成分あります。
具体的には、並進(x,y,z)と、回転(ピッチ,ロール,ヨー)です。

そのため、Free-Free(自由拘束)条件におけるFEMの固有値解析結果では、1~6次には剛体モードが表れます。こちらが固有値解析結果の剛体モードの例(3次モード)です。
下図では、板が弾性変形しておらず、回転していることがわかります。

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左枠の「解析スタディ→すべての結果」から、剛体モードの1~6次共振周波数は0に限りなく近いことがわかります。
実測のハンマリング結果と比較する場合は、FEMの固有値解析結果の次数と対応するように比較するのではなく、そのモードが実験と解析結果で一致しているのか(相関があるのか)を確認しながら比較するようにしましょう。

今回はこのへんでGood luck

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