PolyResi 使用マニュアル

1. はじめに

PolyResiは実験モード解析(Experimental Modal Analysis)を目的としたWindows用ソフトウェアです。実測された周波数応答関数(FRF: Frequency Response Function)に対して以下のモードパラメータを同定できます:

  • 共振周波数(Natural Frequencies, Resonance Frequencies)
  • モード減衰比(Modal Damping Ratios)
  • 振動モード(Mode Vectors, Mode Shapes)
  • MAC(Modal Assurance Criterion)の算出
  • モードアニメーションの動画

本ソフトは Polyreference Least-Squares Complex Frequency-domain (PolyMAX) に基づく安定化ダイアグラムにより、信頼性の高い極の選択を可能としており、商用ソフトと同等の精度を誇ります。

詳細は下記ダウンロードのzip内のPolyResi_TechnicalManual_v1.0_JP.pdfをご確認ください。
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想定ユーザー

  • 製造業における振動試験担当者
  • 振動・構造解析を行う研究者
  • 振動現象に関心のある大学生・大学院生
  • 機械・構造設計を行う技術者・設計者

動作環境

  • OS:Windows 11(64bit)で動作検証済み(Windows 10でも動作する可能性あり)
  • CPU/RAM要件:特別な制限なし(標準的なノートPCで動作可能)
  • インストール不要:ライセンス認証前でも主要機能を動作確認可能

※ライセンス購入前に、必ずご自身のPC環境で無料版を動作させてご確認ください。

起動時にMicrosoft Defender SmartScreenのアラートが出たときの対処

下記の①と②を押すことで実行できます。

ライセンス形態と無料版の制限

PolyResiには無料版(ライセンス無)と有料版(ライセンス有)があります。無料版でも再起動すれば異なる極を選択可能なため、試用段階での多角的な確認が可能です。

機能カテゴリ 無料版 有料版
共振周波数・減衰比の抽出 1つの極のみ選択可能 制限なし
Residueによるモードベクトル同定 1つのみ 制限なし
モード形状の表示 ◯(可視化可能)
アニメーション再生・出力 ✕(無効)
結果のエクスポート ✕(無効)
使用時間制限 5分で自動終了(再起動可) 制限なし

2. インストールと起動

配布形式とインストール手順

PolyResiはインストーラ不要のZip形式で配布されています。以下の手順で簡単に使用を開始できます:

  • 配布された PolyResi.zip を任意のフォルダに解凍します
  • 解凍フォルダ内にある PolyResi.exe をダブルクリックして実行します

初回起動時に特別な設定や入力は不要です。設定画面等も表示されません。

起動方法

PolyResi.exe を実行するだけでメイン画面が立ち上がります。管理者権限は不要で、ライセンスの有無に応じて機能が自動で切り替わります。

ライセンス認証について

PolyResi.exeと同じフォルダにライセンスファイル(例:license.lic)を配置すると、自動的に認証が行われます。認証に失敗した場合は無料版として起動します。

手動でライセンスを設定したい場合は、メイン画面右下の「License Setting」ボタンをクリックし、ダイアログで.licファイルを選択します。選択されたライセンスファイルは自動でlicense.licとしてコピーされ、次回以降の起動時にそれを参照して認証が行われます。

3. 基本的な操作フロー

PolyResiはタブ構成のGUIにより、順を追ってモード解析を進められる設計になっています。本マニュアルでは有料版を前提に、各ステップを解説します。無料版では一部ボタンが無効化されています。

本ソフトには操作をわかりやすくするためのアシスタント機能を用意しております。黄色でハイライトされているボタンを実行していくことで分析を完了できるような仕様になっています。

操作の流れ(タブ構成に沿って)

以下の各操作に用いた例題データはすべて PolyResi/example フォルダに保存されています。

Import Data

このタブでは周波数とFRFのデータを読み込みます。対応フォーマットは .mat, .npy, .csv(詳細は「4. ファイル形式とデータ仕様」参照)。

読み込まれたFRFは画面上にプロット表示されます。FRFにはインポート順に通し番号(ID1, ID2, …)が自動付与され、FRF IDとして使用されます。

表示したいFRFはプルダウンで選択可能です。最後に右下の「Apply and Next」ボタンを押してください。

FRFs Setting

このタブでは、応答点ID・入力点IDおよび各方向を設定します。デフォルトではSIMO構成として初期値が入力されています。

手動でGUI入力するか、

CSVで一括読み込み可能です。

設定後、右下の「Apply and Next」ボタンを押してください。

Modal Analysis: Frequencies and Damping

モード指示関数(CMIF, MMIF)の表示と、PolyMAXによる極の選択が可能です。

「Analyze」ボタンで安定化ダイアグラムが表示されます。

任意の極(s)をクリック後「Confirm Selection」で確定し、右の表に共振周波数・減衰比が追加されます。

最後に右下の「Apply and Next」ボタンを押してください。

Modal Analysis: Mode Vectors (Residues)

選択された極に基づいてResidue(留数)を推定します。赤線で再構築FRFが表示され、右の表に更新された周波数と減衰比が表示されます。

最後に右下の「Apply and Next」ボタンを押してください。

Convert Residue to Mode Vector

MIMO系ではResidueをモードベクトルに変換する必要があります。「SVD-Based Conversion」で変換します。SIMO/MISOでは「Use Residue Directly」でも可。

最後に右下の「Apply and Next」ボタンを押してください。

MAC (Modal Assurance Criterion)

MAC行列を表示し、モード相関を評価します。

最後に右下の「Apply and Next」ボタンを押してください。

Geometry and Mode Shape

「Import Geometry」ボタンでNastran形式のバルクデータを読み込み、構造形状を表示できます。

「Mode Shape」や「Animation Play」で可視化し、「Export Animation」で動画として保存可能です。

Export Analysis

npz, mat, xlsx, pkl形式で保存できます(推奨はnpz, mat, xlsx)。保存データの内容は下表の通りです:

  • freq:周波数データ
  • frf:FRFデータ
  • table_data:FRFs Setting
  • fn2, modal_damp:同定した共振周波数と減衰比
  • modal_v:モードベクトル
  • mac_matrix:MAC行列

4. ファイル形式とデータ仕様

周波数データとFRFデータ

形式 Frequency FRF
mat 1×x n×x
npy (x,) (n,x)
csv A列 B列以降に実部/虚部

FRFs Settingデータ(CSV)

行構成:

  1. Response ID
  2. Input ID
  3. Response Direction
  4. Input Direction

方向は以下のように定義されます:

CSV値 GUI表示
1 +X
2 +Y
3 +Z
-1 -X
-2 -Y
-3 -Z

Nastran形式のバルクデータ

対応要素:CMASS1, CBEAM, CBAR, CTRIA3, CQUAD4(Small Field Formatのみ)

参考リンク:MSC Nastran Quick Reference Guide

5. ライセンス関連の運用説明

ライセンス認証の概要

PolyResiはライセンスファイル(.lic)によって有料機能の利用可否を制御します。ライセンスはMACアドレスに基づき発行されます。

ライセンスファイルの入手方法

  1. 無料版起動時に表示されるMACアドレスを確認(Message欄)
  2. 表示されたMACアドレスをメールで送信
  3. 1~2営業日以内にライセンスファイル(license.lic)が送付されます

MACアドレスが表示されない場合

MACアドレスが検出されない環境ではライセンス発行ができません。予めご了承ください。

ライセンス購入方法

以下のリンクから購入が可能です:

PolyResi - License - 日本語ページ
🔑 PolyResi – ライセンス認証についてPolyResi(機械エンジニアや研究者向けのモーダル解析ツール)のフルバージョンにご関心をお寄せいただき、ありがとうございます。✅ 購入前に必ずお読みください:まずは無料版をダウンロードしてください👉 無料版でも多くの主要機能が開放されています。まずは使用感や操作性をご...

ライセンスの再発行・移行について

PC変更などによる再発行には対応しておりません。MACアドレスの記入ミスがないようご注意ください。

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